筋肉が異常に収縮することで痙攣が起きる状態です。有痛性筋痙攣と呼ばれます。こむら返りと呼ばれることもあります。
ふくらはぎだけでなく、太ももやスネ、足の裏などもつりやすい部分です。
《妊娠中に足がつる原因》
1)黄体ホルモンの影響
妊娠の成立、継続に重要な黄体ホルモン。血管拡張させることで血流をよくし、子宮の赤ちゃんに必要な養分含む血液を集めるのが役目です。血流量が増えることで心臓から足に下がった血液が戻りにくくなり、これにより筋肉が収縮、足がつってしまいます。
2)子宮による影響
妊娠後期から臨月になると、おなかの赤ちゃんはどんどん大きくなり、子宮も大きく重くなります。大きくなった子宮が周りの臓器や筋肉を圧迫します。圧迫により、下半身の血流が滞り、筋肉への血流も阻害されるため足がつりやすくなります。
3)運動不足
妊娠中は、運動不足になりやすいです。妊娠初期は流産の可能性も高いですし、つわりで体調が悪く体を動かす気にならない方も多いでしょう。そのため、妊娠前に比べて筋肉を動かす機会が減ります。妊娠後期や臨月は、おなかが大きいため体を動かすのが億劫になりがちです。運動不足や筋肉量の低下によって、足がつります。
4)水分不足
脱水症状によっても足がつります。体内から水分が失われると、血液循環が悪くなり、筋肉の収縮が強くなります。夜間や明け方に足がつることが多いと思いますが、その原因の一つが水分不足です。つわりで水さえ喉を通らないこともあります。吐き気で食事量も減り、食事から摂る水分も減ってきますので、意識的に水分補給することが大切です。
5)冷えによる影響
体の冷えも足がつる原因となります。一見、体の冷えは妊婦さんと無関係と思われますが、手足の冷えに悩む妊婦さんは多いです。妊娠初期は、プロゲステロンの影響で体温が高めになります。初期のほてりや熱っぽさはこのためです。ほてるため、薄着をしたり、エアコンに当たり過ぎて手足やおなかを冷やしてしまいます。そして、血液循環が悪くなり、筋肉も冷えて筋収縮が強く出てしまい、足がつるのです。
6)むくみによるもの
プロゲステロンは、養分や水分を溜め込む働きがあります。妊娠初期から中期前半までのむくみの主原因は、このことにあると考えられます。初期だけでなく、後期から臨月にかけても体はむくみやすい状態にあります。おなかの赤ちゃんの成長により、大きくなった子宮が静脈を圧迫することでむくみが生じ、足がつりやすい状態を作ります。
7)ミネラル不足
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどのミネラルが不足すると、筋肉や神経が過敏になり、筋肉が極度に収縮します。ちなみに、妊娠中は、おなかの赤ちゃんのために色々な栄養素を余分に摂取しなければなりません。ミネラルだけでなく、ビタミンB群、葉酸、ビタミンC、D,亜鉛、鉄分などです。特に、鉄分は不足しがちで貧血にもなりやすいです。
《対処法》
1)ふくらはぎのストレッチ
※つま先を天井に向けて、踵を壁に向かって押すようなイメージで、ふくらはぎを伸ばします。
2)足を温めてマッサージ
※足先から心臓に向かって静脈は戻っていくので、マッサージは下から上に向かって行うと効果的です。ただし、おなかが張りやすくなる時期は強く押しすぎないようにしてください。
《予防法》
1)体を冷やさない。
※妊娠中は、ほてりなどで熱くて足を出してしまう方も多いですが、足はとにかく冷やさないようにしてください。
2)軽い運動
※妊娠時期にあったもので、ストレッチや体操、ウォーキングなどで血行促進、筋肉の衰えも防げます。
3)栄養バランスのとれた食事
※塩分の多い食事ですと、むくみが強くでます。ミネラル不足も神経や筋肉が過敏になってしまいますので、摂取してほしいです。ビタミンB1などは、疲労回復効果も高いのでおススメです。
《足がつったときにおすすめのつぼ》
陽陵泉
築賓
*ツボがわからない場合は、近くの鍼灸院へお尋ねください。
当院では妊娠中でも鍼灸マッサージが可能です。その際にはドクターからの許可が必要です。