睡眠中に体で起こっていること
私達は睡眠時、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返しています。深い睡眠である「ノンレム睡眠」の時に成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは他のホルモンを調整する働きがあり、同じ脳下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌に影響を与えます。
睡眠ホルモンとよばれるメラトニンは体内の活性酸素を抑える作用を持っています。
活性酸素には卵子を攻撃するので睡眠不足は卵子の育成を妨げる事になります。また男性の睡眠不足は精子の数が25%も減少させるという説もあるそうです。
眠れない時には足を温めると良いと言われています。理由としては活動時には脳にはたくさんの血液や酸素が集められ熱を産生しています。
就寝時には脳が休む為にその熱を手や足などで放出して脳の温度を下げるそうです。冷え症の人はその放熱が上手く出来ないために脳が休まりきらずなかなか寝付けないという事が起こるそうです。足を温めるという事は強制的に血流を足に運ぶ効果があります。
眠る時間も大切ですから午後10時~午前2時までのゴールデンタイムと呼ばれる時間にノンレム睡眠の時間を充てられるように早寝を心がけましょう。
質のいい眠りにつくために
その1 電気は白熱灯の間接照明に
同様に蛍光灯は光が強く、眠りモードを妨げやすいので注意!
ほっこりと心がなごむ白熱灯の間接照明に替え、好きな音楽を聴いて過ごすなど穏やかな時間を楽しみましょう。
緊張をゆるませる効果のある”ラベンダー”のアロマをたいてみるのもおすすめです。
その2 眠る1時間前にはテレビ、パソコン、スマホをオフ!
テレビやパソコンの強い光や刺激的な情報は自律神経を興奮モードにしてしまいます。
眠る1時間前になったら電源をオフにして目や頭を休ませてあげましょう。
また、目は女性ホルモンとも関わっている場所と言われています。ホットタオルなどをのせて休むのも効果的です。
その3 布団に入ったらゆっくり深呼吸
自律神経の働きは意識的にコントロールすることはできませんが、呼吸法が助けになることもあります。
ゆっくり深呼吸をすることでリラックスモードに切り替わりぐっすり眠れます。
また、妊娠しやすい体づくりにはお腹の柔らかさが大切です。深呼吸をすることで横隔膜が開き子宮や卵巣にたくさんの酸素や栄養を送ることができ、お腹も柔らかくなってきます。呼吸法を意識し眠りについてください。
その4 布団に入る前に適度な水分補給
寝ている間にはコップ1杯分もの汗をかくといわれています。ですので水分が足りていないと血液もドロッとして血のめぐりが悪くなるので白湯や水を1杯飲んで寝ましょう。
頑張って眠ろうとすると返って眠れなくなってしまったりします。
眠れない時は深呼吸をして、または腹式呼吸をして、呼吸を整える事に意識を集中させてみてください。脳と身体をリラックスさせてあげる事がまずは大事な事なのです。
よい入眠方法とは
寝る時、身体が冷えてしまってお布団に入ってもなかなか温まらず眠りにつけない方も多いのではないでしょうか。
ただ、温め方によっては睡眠の質が悪くなる場合があるので要注意です。
その1つに、「靴下」があります。
よく足が冷えるので靴下を履いて寝る方がいると思います。
寝る前まで靴下を履いているのは冷え対策にもなるので問題ないのですが、就寝時まで履いているのはNGです。なぜなら、眠りにつく前って体がホワーっと温かくなると思うのですが、靴下をはいたままだと足からの放熱が妨げられ、深部体温が下がりにくくなってしまい、かえって寝つきが悪くなってしまうのです。
そんな時は、「レッグウォーマー」がおススメです!レッグウォーマーで足首を温め、全身の血流を促します。足裏から放熱も出来るのでスムーズな入眠ができると思います。
「電気毛布」の使用も要注意です!電気毛布は温度が変わらないため、つけっ放しにしているとコレも深部体温を下げにくくし、深い眠りの妨げになってしまいます。また、ずっと熱いので寝汗をかきやすくなり自律神経が休まらず疲労回復もしづらくなります。脱水症状になる可能性もあります。就寝前にお布団を温める目的として使いましょう。
湯たんぽは、徐々に温度が下がっていくアイテムなのでOKです。
自分の身体だけでは、速やかな睡眠が難しいこともあると思います。上手な道具選びで、快適な睡眠環境を作っていきましょう!
早寝早起きが女性ホルモンにいい理由
地球は約24時間を1日とし1回転しますが、人の身体は大体23~25時間を1日として活動しています。そのズレをリセットしてくれるのが朝日です。
まず、朝日を浴びるとセロトニンという物質が分泌され、交感神経が働き始めます。
自律神経の交感神経、副交感神経が正しく働くことが体内リズムを整える事に繋がります。
セロトニンはまたメラトニンというホルモンを作る材料にもなります。メラトニンは就寝前に分泌され、脈拍、血圧、体温に働きかけ身体を眠りへと誘います。早起きすることが質の良い睡眠へと繋がってくるわけです。
セロトニンはアミノ酸のトリプトファンから作られます。
トリプトファンが多く含まれるナッツ、アボカド、乳製品、キノコ類、大豆製品、カツオやマグロを朝食で300~400mg取っておくと寝つきと寝起きが良くなると言われているそうです。トリプトファンは必須アミノ酸でアミノ酸からなるタンパク質に多く含まれていますが、動物性たんぱく質より植物性タンパク質の方がセロトニンの材料になりやすいと言われています。セロトニンは幸せホルモンとも言われていて楽しいと感じた場合に分泌されるとも言われています。女性ホルモンのエストロゲンの分泌の低下に伴いセロトニンの分泌も低下すると言われています。
とはいえセロトニンの過剰な摂取は肝機能障害を引き起こすと言われています。
偏食やダイエットなどで過剰にタンパク質を避けたりしていなければ、サプリメントに頼らずとも、バランスの良い食事を心がけることで必要量を摂取することが出来ると言われています。
女性ホルモンは自律神経によってコントロールされています。妊活の質を上げる為には早寝、早起き、バランスの取れた食事、そして毎日楽しく過ごす事がとても大事な事になります。
寝苦しい夜の過ごし方
皆さんは寝苦しい夜をどのように過ごしていますでしょうか。
数年前までは夏の夜のクーラー使用は、寝る前に室温を下げ、数時間後には切れるようタイマーをセットしておくというのが基本でしたね。今は少し違い、夜通し使用でも良いという考えになってきています。寝室を快適な空間にする場合、【室温29℃以内、湿度50~60%】が基準となりますができれば寝る前に室温を26℃くらいに冷やしておいてから、眠る時は28℃程度に設定し睡眠をとることが勧められています。
人は体から熱を出すことで体温を下げて眠りにつきます。しかし、周りの温度が高くなると皮膚の温度はあがり放熱できず体温が下がらないことで中途覚醒が増えてしまうそうです。
何度も何度も夜中に起きてしまうとゆっくり休めず、体力を戻す事ができなくなり自律神経の乱れを起こしてしまう原因にもなります。対策方法としては、クーラーを夜通し使いつつ、扇風機を使用するなど冷たい空気を循環させてください。
妊活中や妊娠中の方は、くれぐれも、お腹や足首は冷やさないように腹巻やレッグウォーマーで対応してください。
不眠について
不眠は西洋医学では、入眠困難・熟眠困難・早期覚醒・中途覚醒と分類します。
東洋医学では不眠は心身の過労や環境の変化からくる一過性のものや、身体的な苦痛からくるもので原因を除去できるものが効果がよく、脳・心・腎臓疾患・精神病によるものはあまり効果が期待できません。
心身の過労や神経症の場合が多いので神経過敏を鎮めるようなツボを使います。
●百会(ひゃくえ)
左右の耳尖を結ぶ線と正中線との交点
●風池
風池 頭を支えるようにして両手の親指をくぼみの縁に当てて頭の中心に向かって押し上げる。
《慢性の胃腸障害があり、心窩部がつかえ、便秘したり腹が張って寝れない場合のつぼ》
●足三里(あしさんり)
膝のお皿の下に人差し指のはしをあてて、つま先方向に指4本分。
《特効穴》
●失眠(しつみん)
足の裏、かかとの中央にとります。お灸をするとより効果的です。
熱くなってからさらにお灸を2~3回するといいといわれています。今回教えたツボは一般的な不眠のつぼです。
このほかにも不眠によく効くツボですが自分で探すのが難しく、ご紹介できないツボもあります。また、ツボの刺激量や使い方も個人差があります。
ツボの位置が分からない場合や他のツボも気になる方はお近くの鍼灸院へいき、ご自身にあったツボを施術してもらってください。
ツボ以外にお勧めの睡眠呼吸法
健康増進の方法は多岐にわたりますが、お金も時間もかけずに出来る一つの方法として「呼吸法」が挙げられます。
丁寧に呼吸をする事は、血圧を整えたり、感情の起伏を穏やかにしたり、はたまた記憶力に影響を与えるという研究結果も出ているほど、私達の健康において重要な役割を担っています。
呼吸法による様々な利点の中で、この機会に特に注目したいのが不眠症改善、主に入眠障害の改善です。不眠に対する有名な呼吸法で「4-7-8呼吸法」というものがあります。
米国の内科医師がヨガを参考に発案した方法で、「マインドフルネス呼吸法」ともいわれる瞑想方法の一つです。
もちろん全ての人に当てはまるものではありませんが、世界中の多くの人が不眠症改善、ストレス軽減を実感している方法です。
★4-7-8呼吸法のやり方
→ずっと口は閉じた状態で、吸う時も吐く時も鼻で行います。
- 口を閉じた状態で、息を完全に吐き出します。
- 心の中でカウントしながら、口を閉じたままで鼻から4秒間で息を吸います。
- 7秒間息を止めます。
- 8秒間かけて鼻から息を吐きます。
- ①~④を就寝前などに3~4セット行います。
呼吸の「呼」つまり「息を吐く」ことは副交感神経に影響を与えます。
吸う時よりも息を吐くことをゆっくりと長めに行うことで、副交感神経が優位になり、自然と眠りに入っていける状態にしてくれます。
途中で7秒間呼吸を止めるときに、セロトニンというホルモンが分泌されます。これは幸せホルモンとも呼ばれるもので、緊張を和らげて穏やかな状態にしてくれるホルモンです。
また、この方法は心の中でカウントしながら行うことで体の良いリズムが生まれるともいわれています。
とても簡単な方法で、人によっては初めのうちは実感が湧かないかもしれませんが、この呼吸法は継続していくことでより効果が高まるといわれています。
副作用などはありませんが、かえって呼吸が苦しくなったりつらいと感じる時は呼吸法を中止してください。
誰もが多忙といわれる現代社会では、遅くまで仕事や勉強をしていたり、寝る直前までパソコンやスマートフォンを使用していたり、活動時間が長い人が多くいます。
活動状態が長く続くと、交感神経から副交感神経への移行がスムーズに行われず、興奮状態が続いてなかなか寝付けない、という状態に陥ってしまいがちです。
呼吸法は、忙しい人にもぴったりの短時間でできる方法です。
ぜひ、おやすみ前の習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。
出典:厚生労働省 眠りのメカニズム https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14551.html
不眠は鍼灸の適応症です。鍼灸について