PGTは、体外受精を行い胚盤胞へ育った胚の栄養外胚葉(将来胎盤になる細胞)の6~10個程度を採取して、染色体を検査することです。
種類
PGT(着床前診断)には、PGT-A、PGT-SR、PGT-Mがあります。
Aは、aneuploidy(異数性)の略で、受精卵の染色体の数を調べ、異常がない受精卵を子宮に移植することで、流産を減らし、胚移植あたりの妊娠率や出産率を高めることを目的としています。
SRは、Structural Rearrangemen(構造異常)の略で、夫婦の染色体の形の問題から、胚の染色体にも同様の問題が生じ、流産を繰り返す場合に対象となる検査です。
Mは、Monogenic(単一遺伝子)の略で、重篤な遺伝性疾患を持つ子どもが生まれる可能性がある夫婦を対象に行う検査です。重篤な遺伝性疾患には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD).筋強直性ジストロフィーLeigh脳症.副腎白質ジストロフィーオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症などがあります。
結果の出方
PGDISのガイドラインにより
・移植に問題ない。正常胚(異常20%未満)
・モザイク胚(異常20~80)
・不適(異常80%以上)
・判定不能
と判断されます。
受精卵は、2分割、4分割と細胞分裂していくのですが、その過程で均等に分かれず、異数の細胞が混在している胚をモザイク胚といいます。
一般的にPGT-Aを行った胚盤胞のうち、17.5%がモザイク胚という報告もあります。
モザイク胚の着床率
正常胚の着床率は7割ほどといわれてります。
その中で低モザイク胚は1~2割ほど下がると言われており、5~6割ほどの着床率といわれています。
高モザイク胚は2割から4割程度の着床率といわれます。
ただし、異常な細胞は生命力が弱く、自然淘汰されていくことがわかっています。
モザイク胚は着床しても流産する可能性があります。
もし、モザイク胚と診断されて、着床し出産まで至るのであれば、特に障害や発達に問題はないとのことでした。
モザイク胚といわれて出産するケース
PGT‐Aでは、卵子の外胚葉の部分、いわゆる胎盤になる細胞を採取し検査します。
赤ちゃんになる内部細胞塊の部分は細胞分裂を繰り返すうちに異常な細胞が淘汰され、正常胚に置き換わるそうです。
そのため、赤ちゃんに染色体数には問題なく、妊娠して出産に至るそうです。
ただし、モザイク胚からの出産の確率は大変低いそうです。
PGT-Aの注意点
人為的診断エラーが含まれることがあります。
検査のために細胞を採取するので、胚盤胞へのダメージが心配される。
検査をしても染色体異常に起因しない流産は防ぐことがてきません。
通常の治療とは別に検査料金がかかります。保険適応ではありません。
なかなか着床しない方や、流産を繰り返す方はPGT-A を病院から進められることがあります。
モザイク胚になったときに、破棄するべきか、戻すべきか、悩まれるかと思いますが、モザイク胚からの出産はとても少ないそうです。
生まれる場合は赤ちゃんに問題がないという報告がありますので、参考にしていただけたらと思いました。
PGT-Aの費用
病院によっても異なりますが、PGT-Aは保険適応ではありません。また、その病院で行えるか、外部に委託しているかによっても値段、期間も変わります。
新宿のある病院では、体外受精費用とは別に、費用(税込)がかかります。
胚盤胞PGT-A検査(胚盤胞1個あたり):110,000円
一個当たりなので、4個胚盤胞になり検査すると、440,000円になります。
PGT₋Aによる産み分け
着床前診断は、そもそも遺伝的に致死率の高い疾患を引き継いでいるかどうかを、受精卵の段階で調査するための方法として導入されたものです。そのため、男女の産み分けの目的でこの技術を使用することはできません。
海外では産み分けしてる国もあります。