DHA・EPA
最近、ハーバード大学の研究で妊娠初期と中期の血中 DHA・EPA の低濃度は①早産のリスク要因になり得るという結果が報告されました。
DHAやEPAは魚油に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸に属する②必須脂肪酸です。
必須脂肪酸とは、体内でつくることができません。そのため、食事の内容によっては不足してしまう可能性があります。
具体的には、魚をあまり食べない方、精製食品や加工食品が多い方は、必然的にオメガ3脂肪酸が不足しやすくなり、妊娠、出産を見据えて食生活を見直したほうがよいかもしれません。
①早産とは
早産とは正期産(妊娠37週0日~妊娠41週6日まで)以前の出生のことをいい、日本では妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産を早産とされています。
②脂肪酸について
脂肪酸とは脂質を構成する成分のことで、食品の脂肪の9割が脂肪酸でできています。脂肪酸は大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。飽和脂肪酸は、肉の脂肪やバターなどに多く含まれ、特徴は、常温では固体であるということです。それに対して不飽和脂肪酸は植物や魚に多く含まれ、液体で存在します。また、不飽和脂肪酸はオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸、オメガ9脂肪酸の3つに分けられます。この中でオメガ9脂肪酸のみが人が体内で作ることのできる脂肪酸です。
具体的な油の種類では
- オメガ6脂肪酸の代表的な脂肪酸はリノール酸で、コーン油、ゴマ油、大豆油、紅花油、ひまわり油、サフラワー油等に豊富です。
- オメガ3系脂肪酸はアルファリノレン酸やEPA、DPAなどで、魚油や亜麻仁油、エゴマ油、シソ油等に豊富です。
- オメガ9系脂肪酸にはオレイン酸などがあり、オリーブオイル菜種油等に豊富に含まれます。
必須脂肪酸は生理活性物質になります。
オメガ6脂肪酸からつくられる生理活性物質は炎症作用や血管収縮、アレルギー症状悪化に働き、オメガ3 脂肪酸からつくられるそれは、炎症抑制、血管拡張、アレルギー症状を緩和します。
そのため、オメガ6が過剰にオメガ3が不足すると、炎症が起きやすくなり、血流が悪化し、アレルギー体質が促進されます。
オメガ6とオメガ3の摂取バランスは4対1がよいとされていますが、食事次第、たとえば、加工精製食品を食べる機会が増え、魚を食べる機会が少なくなると、オメガ6脂肪酸の 過剰摂取、オメガ3脂肪酸の不足を招き、両者のバランスが崩れてしまいます。
早産の原因やリスクファクターは多岐に渡りますが、自然早産の多くの原因に炎症が関わっていることが知られています。
そのため、炎症を抑えるように働くオメガ3脂肪酸の不足が早産のリスク上昇に関連するのではないかと考えられているようです。
その他の研究結果からは、
- 妊娠中のオメガ3脂肪酸のサプリメント補充が早産にリスク低下に関連した。
- 早産だけでなく、魚をよく食べ、DHA や EPA の血中濃度が高い女性ほど、体外受精の妊娠率や出産率が高い。
- 妊娠中のオメガ3脂肪酸のサプリメントは出生児のぜんそくの発症率を低下させる。
- 妊娠中にDHAのサプリメント摂取によって子どもの出生後の問題解決能力が高まるなどがあげられます。
このように、オメガ3脂肪酸は、体外受精の治療成績から妊娠出産のリスクや出生児の心身の健康にまで、プラスの影響を及ぼすことが明らかになっているのです。
以上の研究結果をみていくと、オメガ3脂肪酸は妊娠、出産、育児において、とても重要な脂肪酸であることがわかります。特に、魚油に豊富なDHAやEPAです。
亜麻仁油やシソ油、エゴマ油に豊富なαリノレン酸もオメガ3脂肪酸に属する脂肪酸で、αリノレン酸は体内で DHA や EPA に変換されます。
ところが、今回の研究でも指摘されていますが、αリノレン酸からDHAやEPAに変換される酵素の効率が遺伝的に低い人がいることもわかっています。そのため、DHAやEPAを摂取すること、具体的には脂ののった魚を週に2、3回は食べるこれに尽きます。
ただし、魚が苦手な方、万全を期したいという方はオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取をお勧めします。
DHAやEPAの摂取だけでなく、魚を取る際は、水銀の影響もご確認の上、気を付けて摂取してください。
みやび鍼灸院では20週を過ぎたころから安産のお灸を推奨しています。