子宮内フローラと着床環境 細菌性膣炎は不妊症や流産、早産のリスクが高める!

内膜 みやび鍼灸院

子宮内フローラと着床環境

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子宮内フローラの良し悪しが、着床環境に影響を及ぼしている可能性があるということで、注目されています。
私たちのところにも、連日、ご相談が寄せられるようになりました。そこで、「子宮内フローラと着床環境」について考えてみたいと思います。

■ヒトの表面に生息する微生物

「子宮内フローラ」とは子宮内に、常時、生息している細菌叢のことです。細菌叢と言えば、「腸内細菌」はよく知られていると思います。ヒトの腸内には、約100兆個!もの腸内細菌が生息していると言われている、あの、「腸内細菌」のことです。
この「細菌叢」、腸内だけでなく、 あらゆる表面。たとえば、表面そのものの皮膚だけでなく、くぼんでいるけれども、身体の外側で表面と言える 口や耳、鼻の内側、消化管、呼吸器、そして、生殖器にまで、ほとんど、全身の上皮に存在しているのです。
その数は腸内だけで、100兆個、微生物の種類は約1000種類、重量は約1~1.5kg、遺伝子の数はヒトは2万個なのに対して、ヒトに生息している微生物の総数が約50万個とされています。
普段、全く意識することはありませんが、これだけの微生物が私たちの身体に寄生しているのです。細菌と聞けば、「病原菌」を思い浮かべるかもしれませんが、この細菌叢は、決して、私たちに悪さをしているわけではなく、言ってみれば、細菌叢とヒトは「もちつもたれつ」の関係にあります。
具体的には、私たちに必要な栄養素やエネルギーを産生したり、免疫系や代謝系の調節など、様々な役割を担っていると考えられています。要は、共生関係にあるというわけです。

ところが、細菌叢を構成する細菌には「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」があり、「善玉菌」が優勢の状態では共生関係でいられたのに、なんらかの理由でそのバランスが崩れ、「悪玉菌」優勢になると、共生関係も崩れ、ヒトに悪さを働くようになり、健康状態にマイナスの影響を及ぼすようになると考えられています。
細菌叢を構成するバランスがキーになります。

因みに、細菌叢のことを最近、「マイクロバイオータ」、そして、細菌叢同士、細菌叢とヒトとの相互作用も含めた広い概念のことを「マイクロバイオーム」という用語を使うことが多くなってきています。

■膣内フローラ

膣や子宮などの女性生殖器にはとても精密な免疫系が構築されています。性感染症を引き起こすような病原菌の侵入を阻止しながらも、時には、非自己である精子や胎児、胎盤を受け入らなければならないからです。
そのため、生殖器の粘膜がバリアとなり、生殖ホルモンの指令のもとに、時に拒絶したり、時に受け入れたりしているのです。
その際に生殖器に存在する細菌叢が重要な役割を担っています。

入り口にあたる腟から子宮腟部では、乳酸菌の一種であるラクトバチルスが、エストロゲンの影響で膣の上皮細胞から剥離したグリコーゲンを発酵し、乳酸を産生し、腟内を酸性環境に保つことで雑菌の増殖を抑制しています(1)。

正常な女性に膣内ではラクトバチルスが優勢ですが、なんらかの理由、たとえば、年齢や月経、血中エストロゲン値、喫煙、性行為、衛生環境、ストレスなどによって、その組成が変化し、ラクトバチルスが減少すると、バリア機能が低下し、細菌性膣症の発症リスクが高くなります(2)。

そして、膣内細菌叢の異常が招く細菌性膣症は、不妊症や流産、早産のリスクを高めます。

たとえば、卵管因子の不妊症女性では、それ以外の不妊症女性に比べて2.77倍細菌性膣症が多く、細菌性膣症があると、受精率は低下しないものの化学的妊娠のリスクが2.36倍まで上昇(3)、さらに、早産のリスクも2.4倍まで上昇させる(4)という研究報告がなされています。
このように膣内フローラの異常は妊娠する力を低下させる可能性があります。

■子宮内フローラ

膣内には細菌叢が生息し、免疫機能に深く関与していることは知られていましたが、そのため微生物はそこでブロックされ、その上部に位置する子宮内は無菌であると考えられてきました。

2007年に次世代シークエンシングと呼ばれる遺伝子の配列を解析する新しい方法が実用化され、飛躍的に検査の精度が高まり、ヒトに生息する細菌叢の組成を、それまでの方法に比べてより網羅的、かつ、詳細に明らかにすることができるようになりました。
その方法で子宮内を調べてみると、それまでの方法では検出することができなかった細菌叢の存在が明らかになったのです。

2015年、アメリカのラトガース大学の研究グループが、次世代シークエンシングでART治療での胚移植時のカテーテルに付着した子宮内の分泌物の存在する細菌を解析し、妊娠に至ったグループと、妊娠に至らなかったグループで比較しました(5)。その結果、胚移植時にはラクトバチルスとフラボバクテリウムの2つの細菌が優勢であることを明らかにしました。ただし、その後の妊娠に至ったかには違いはありませんでした。

そして、2016年にスペインのグループが、不妊症患者を対象に子宮内にラクトバチルスが90%以上と90%未満の2つのグループに分け、治療成績を比較しています(6)。

その結果、着床率(60.7% vs. 23.1%)、臨床妊娠率(70.6% vs. 33.3%)、出産率(58/8% vs. 6.7%)と、いずれの成績もラクトバチルス優勢(90%以上)のほうが高いことを明らかにし、子宮内フローラの組成は着床環境に影響を及ぼすことが示唆されました。

■子宮内膜フローラ検査

現在までに子宮内フローラの異常が着床障害のリスク要因になることが示唆された研究は上記のスペインのグループの報告だけにとどまっています。その研究も被験者数が32名(ラクトバチルス優勢:17名、非優勢:15名)と少なく、観察研究で相関関係が確かめられたというものです。そもそも、膨大な研究が実施されている腸内細菌叢の作用でさえ、まだまだわかっていないことのほうが多いくらい、マイクロバイオームの世界は混沌としているように見受けられます。

そのため、細菌叢の異常が着床率を低下させているかどうかは、現時点では可能性にしか過ぎませんが、もしも、良好胚を移植しても妊娠に至らなければ、子宮内膜の細菌叢を検査し、ラクトバチルスが90%未満であれば、ラクトバチルスを増殖させ、妊娠にチャレンジする価値はあるかもしれません。

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