基礎体温と月経
基礎体温とは、安静時の体温で、月経周期により低温相と高温相の二相からなります。
月経開始から排卵までは低温相、排卵後はプロゲステロン(黄体ホルモン)分泌の影響により高温相に変化します。基礎体温を継続して測定していると、この低温期から高温期への移行があることで、排卵が起こったことがわかるようになるのです。目覚めてすぐに検温することで、自分の大切な体のリズムがわかります。
女性ホルモンの関係で、排卵前と排卵後では、体の状態が大きく変わります生理周期の排卵の前後、さらに妊娠で変化する女性ホルモンの関係から妊娠中の心身のケアや心構えまでが変わります。
基礎体温 Q&A
Q、何故起きてすぐに計るのでしょうか?
A、人の体温は1日の間で変動しています。ご飯を食べたり、運動したり、お風呂に入ると実際に体が温かくなるのを感じる事が出来ると思います。
布団から起き上がるだけで身体は活動を始める為に徐々に体温を上げ始めます。
基礎体温は常に同じ状態で最低体温を測る為に条件を揃える必要があり、布団の横において起き上がる前に測ることが良いとされています。
Q、何故口で測るのでしょうか?
A、風邪を引いた時は脇の下に体温計を挟むのに何故口にくわえるのでしょう?
基礎体温では0.00の単位で身体の深部体温を測ります。ホルモンが分泌されていることでの起こる体温の変化をみるためです。きちんと測る為には体温計を口にくわえるのではなく舌の下に差し込むようにするとより正確に深部体温が測れます。
脇に挟むときは体表の温度を測ります。風邪を引いた時などはウイルスの進入などにより高熱が上がるので体表で計る事が出来るのです。
Q、何故グラフが2層に分かれるのでしょうか?
A、排卵前は卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響により体温は下がります。
排卵時には黄体化ホルモン(LH)が分泌され体温が上昇します。
このように体温の変化はホルモンがしっかり分泌されていれば低温期と高温期に分かれる事になります。
低温期が長く続きグラフが2層に分かれない時は無排卵月経を疑う必要があります。
無排卵月経は特別な疾患がなくても年齢を重ねてくると卵巣の機能低下により起こる場合があります。
Q、グラフが2層に分かれていないと排卵してないのでしょうか?
A、体温は外気温にも左右されます。季節の変わり目で日によって気温差が大きいと変化してしまう場合があります。
お布団から肩が出てしまっていたり、夜中、トイレに起きてしまったりしても変化します。なので高温期、低温期と単位でみることが大切です。
基礎体温表にトイレに起きた等その日の最低気温等も書き加えると目安になると思います。
また2層に分かれていても高温期の期間が短いと黄体機能不全の疑いがあります。
高温期は10日以上続くのが望ましいです。
Q、きちんと2層になっていれば排卵してるのでしょうか?
A、必ず排卵しているとは限りません。
黄体化非破裂卵胞と言ってLHサージもあり基礎体温が上がっても卵胞が放出されずに残っている場があるのです。
LUF(黄体化非破裂卵胞)
通常卵巣では約2週間かけて1個の卵胞を成熟させます。
そして下垂体から指令を受け取り排卵が起こり、排卵後の卵胞は黄体へ変化する仕組みになっています。この時基礎体温が上昇するため、無事に排卵が行われたとおもうことが多くあります。
実は、基礎体温では2相性(低温~高温)を示すため、またホルモン分泌も異常が認められないことが多く、「正常に排卵した」と思っていた周期でも出現していることがあるのです。
基礎体温の上昇を認めた後でも、卵胞が消滅しないで存在し続けることが特徴です。しかし排卵は行われません。一般的には卵胞はその後も成長し続けて、中には40~50ミリの大きさになることもあります。
LUFは不妊でない人も5~10%の程度で散発的に起きるようです。
LUFの診断
排卵前から排卵後にかけて慎重に「超音波診断」を行うことで確認できます。
LUFの原因
いろんな説がありますが、はっきりとした原因は不明です。
LUFの治療
LUFは誰にでも起こりえるので、多くの場合はそのまま経過を診ていくことになります。
度々認められる場合は、クロミフェン製剤やスプレキュアなどの点鼻薬、hCG製剤などの排卵誘発剤を使用して卵胞を排卵させる方法もあります。
もし、基礎体温をつけ始めなかなか妊活が上手くいかないなと思った時、けれどまだステップアップは考えていない。そんな時には一度排卵しているかどうかを病院で超音波検査をすることで確認といいでしょう。
月経について
月経(生理)
基礎体温を測りつつ、生理を知ることでより自身の体調や体の変化などに気付くことができるようになります。
どのくらい自分の体を理解していますか?
1、生理周期
成熟した女性の生理周期は通常28~30日と言われています。ただし、ストレスや生活習慣によって左右されやすいので毎回同じ周期とは限りません。6日程度のズレは問題ないと言われています。
ここで注意したいのは、39日以上経っても生理が来ない「稀発月経」と、24日以内の「頻発月経」です。
稀発月経が起こる原因としては、
・排卵が起こっていない・閉経する前ぶり・妊娠 などのが考えられます。
頻発月経にも、排卵しているもの・排卵していないものがあります。
主な原因としては、
・黄体機能不全・無排卵性周期症などが考えられます。
生理のリズムは女性ホルモンが作りだすもの。そのホルモンバランスを崩してしまうと女性の身体にはさまざまな問題が起こってきます。
言いかえると生理周期を正しくキープできていれば心身ともに健康であり妊娠しやすい身体になってきます。
2、生理痛の変化
生理痛は鎮痛剤を服用しないと生活できない人や痛みが全くない人など個人差があるものです。
特に鎮痛剤を服用しないと生活できない人には何か問題が隠れている場合があります。
主な原因としては子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣のう種や性感染症による炎症などが考えられます。
婦人科では痛みのレベルを「VAS」というスケールを用いて判断します。
生理痛がひどいだけで病院って…。痛みの具合は伝わりにくい…なんて思わずすぐに婦人科を受診してみてください。
3、経血の変化
医学的には、生理以外の出血は全て「不正出血」と呼びます。不正出血にはホルモンの変動によるものと、子宮の病気によるものに分けられます。
いずれにしても重大な病気が隠れている可能性がありますので放っておくのは心配です。
不正出血の原因で多いのは「子宮頸がんポリープ」「子宮筋腫」「子宮内膜症」「膣炎」です。
はっきりとした診断は検査してみないとわかりません。「おかしいな」と感じたら婦人科を受診しましょう。
また、年齢によっては経血の状態も変化します。
特に30代半ばぐらいから血液が固まりやすくなってきます。赤かった経血が少しずつ黒くなったり、塊が多くなったりしている場合は経過を観察します。
しかし、感じかたはそれぞれですから何か気になることがある場合や変化があった場合は検査を受けてみると安心です。
4、生理期間
通常の生理は4~7日ですが、8日以上続く場合は「過長月経」、1~2日で終わてしまう場合は「過短月経」と言います。どちらの場合も病気が隠れている可能性があります。
「過長月経」は出血量に関係なくダラダラと続く生理です。
この場合「子宮筋腫」や「子宮がん」が疑われます。また、過長月経には過多月経を伴うことが多いのも特徴です。早めに検査を受け原因をみつけましょう。「過短月経」の場合は、生理の日数が少ないので出血量が少ない「過少月経」でもあることがほとんどです。
原因は子宮が充分に発達していない「子宮発育不全」や子宮内膜が癒着を起こしてしまう「アッシャーマン症候群」などが考えられます。
その他「子宮筋腫」や「子宮内膜症」「チョコレート嚢腫」などの可能性も考えられます。
5、生理が止まった経験
生理を起こすには卵巣からでる女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンの両方のバランスがとれていることが必要です。
生理が止まる原因は、性機能が未発達、多嚢胞性卵胞、急激なダイエット、過度なストレス、プロラクチンや甲状腺などの問題が考えられます。
どの原因でも生理が止まっている事、遅れている事を放置してしまうと子宮や卵巣ともに萎縮して機能が低下している可能性が高く治療が難航してしまいます。
月経痛の痛みの対処法
個人差はありますが生理が始まる頃には生理痛が出てきます。その時に下腹部だけでなく頭痛、肩こりがひどくなる方がいると思います。
一見、関係ないように思えますが、実は子宮と関係があるんですよ。
子宮を包む骨盤は女性の生理周期に合わせて開いたり閉じたりしていますがそのときに頭蓋骨、肩甲骨が連動して動きます。生理前には骨が開きますが、動きが悪いと必死に開こうとするためそれぞれの骨がある周辺に痛みが出ます。
そのため頭痛や肩こり、胸の張りとして辛い症状として現れることに…
生理痛と同時に他の症状が出るのは偶然ではなく頭蓋骨、肩甲骨の周辺の硬さをとることで改善が期待できます。温かいお風呂につかり頭をほぐしてみたり、肩甲骨をほぐす事がおススメです。