今日はよく聞かれる妊娠中に気をつけることについて書いていきます。
麻疹
すでに妊娠している場合、妊娠中の方は理論上、はしかワクチンが胎児にリスクが及ぶ可能性があるため予防接種が出来ません。
ただ、うっかり接種を受けてしまった母親から生まれた新生児に問題が生じたという報告例はないそうです。
麻疹が心配な方は既往歴をしらべて、子供の頃に予防接種を受けたことがないか、ご両親に確認しても記憶にないか調べてください。
やったことがないかもという場合は医師の検査を受けて免疫の有無を確認しましょう。
はしかは風疹と違って先天異常を生じさせないらしいです。
また、万が一免疫のない人が麻疹患者と直接接したら、発症した場合に重症化しないように潜伏期間(接触してから発症までの間)に病院へ行ってガンマグロブリンを投与してもらいましょう。
風疹
妊娠中に風疹に罹ったら胎児に起こりうるすべてのリスクについて医師と相談する必要があります。
妊娠がすすむにつれ伴うリスクは少なくなる点を理解しておくことが大事です。
1ヶ月目感染した場合胎児が深刻な先天異常を生じ都可能でいは高く、35%です。3ヶ月目にはこれが10~15%に下がります。
その後のリスクはごく低くなります。
風疹のワクチンを受けると2ヶ月は妊娠しないように指示を受けます。
この間に図らずも妊娠してしまったり、妊娠を知らずに予防注射を受けることがあって理論上は胎児に害が及ぶ危険性がありますが、それに追って先天的異常が生じた報告例は今までないそうです。
参考文献 妊娠と出産の本 監修 竹内正人産科医
貧血
はじめに、体内の鉄分が足りているかどうかの指標のひとつに、赤血球に含まれ、鉄分が主な成分であるヘモグロビン値(血色素量)があります。男性で13~17g/dl、女性で12~15g/dlが正常値と言われていますが、日本人女性のすべての世代で、1~2割の女性がこの数値を下回っているという国の調査がでています。
鉄分の重要な働きは、
- 1.血液を通し身体の隅々まで酸素を運ぶ。(鉄分が不足し酸素が十分に運び込まれないと細胞に栄養がいかず身体の不調がでやすい)
- 2.免疫力に関わる白血球の働きに関与する。(白血球が正常に働かず、風邪をひきやすく、長引く)
- 3.皮膚や粘膜の健康状態を保つ。(湿疹ができやすい、鼻水がとまらない、便秘や下痢をしやすい)
- 4.コラーゲンの生合成。(肌荒れや爪の変形、髪の毛が弱くなる)
- 5.血管の健康に関与。(血行不良が起きやすくなり、肌がくすむ、肩が凝る、腰が痛い、あざができやすい)
以上のことがあげられます。
妊娠中は血流量が増え、非妊娠時の1.3倍にもなると言われています。その為、血液中の赤血球の製造が追いつかず貧血になりやすい状態となります。とくに、赤ちゃんが自分で血液を作り出すのに鉄分を必要とする為ママの身体から大量に鉄分が吸収されてしまいます。ただ、ママの貧血が赤ちゃんの発育に影響するのはまれです。なぜなら、ママの身体の栄養素は優先的に赤ちゃんに運ばれるしくみだからです。しかし、貧血が進むと動悸や息切れが現れやすくなります。
妊婦さんが貧血の場合、
- 妊娠中・・・自覚症状なし
- 出産時・・・出血しやすく止血しにくい。麻酔が必要なお産になった場合危険が伴うケースあり。
- 産後 ・・・貧血が続くとママの体力が低下し母乳育児がしずらく感じる事も。悪露が止まりにくい。
以上のようなことがあります。
予防のポイントとしては食品で取りいれる事が一番大切な事になります。
鉄分が豊富な食材の代表的なものは
豚レバー ・・・13.0g
切り干し大根 ・・・9.7g
あさり ・・・2.8g
納豆 ・・・3.3g
小松菜 ・・・2.8g
ほうれん草 ・・・2.0g
木綿豆腐 ・・・0.9g などがあります。
貧血にいいから!!と言って同じものばかりとることはよくありません。鉄鍋を使って料理をしてみたり、鉄分の消化吸収を助ける効果のあるお酢と一緒に調理してみたり、鉄分の吸収がアップするビタミンCの豊富な緑黄色野菜や果物と一緒に摂ってみたりと妊娠中の食事が不安なものではなく、楽しくなるよう工夫をしてみてください。
尿蛋白
原因
自分の血液に加え、赤ちゃんの血液も一緒にろ過しているいため妊娠前よりも沢山の血液をろ過しなければなりません。腎臓にとってかなりの重労働です。たくさん働くほど腎臓の機能は低下しやすく、ろ過がうまくいかなくなって尿にたんぱく質が混じりやすくなります。また、運動不足になるほど、腎機能は低下するので、尿たんぱくが出やすくなります。±は、プラスが疑われるということです。1+に近い状態です。妊娠中は尿たんぱくが出やすいですので、一時的に出た可能性もあります。
改善方法は、塩分を控える、糖分を控える、カロリー管理をする、適度な運動(マタニティーヨガやウオーキングなどは全身の血行を促進し、心身のストレスを軽減させる)水分摂取(水分が足りないことで陽性になることがある)血液をサラサラにしてスムーズに子宮・胎盤に送ることが、赤ちゃんに必要な羊水をつくると事な役割があります。このように妊娠中は尿たんぱくがでやすいですのでプラスが出ても心配しすぎないで、食事や軽い運動で、予防していきましょう。
体重
妊娠すると体重の変化が気になりますよね。出産までにどのくらい増えるのか?どのくらい増えていいのか?大体の目安はBMIによって変わってきます。BMIが18.5未満の痩せ型と言われる方は9~12㎏、BMI18.5~25の方は7~25㎏、BMI25以上の太り気味と言われる方は5~7㎏が目安とされていますが個人差もありますので病院の先生とよく相談されて下さい。
また体重が増える時期もとても重要です。妊娠15週まではまだ胎盤の形成が未完成の為、胎児が母体から栄養をとる事はないそうですので食事は母体の分だけ摂取出来ていれば良いとされています。
つわりのあるこの時期はホルモンのバランスが崩れる事で太ってしまう場合もあるそうですがこの時期の体重増加はしなくて良いと言われています。体重増加により妊娠高血圧、妊娠糖尿病のリスクが上がるというのは想像しやすいと思いますがそれだけではありません。必要以上の脂肪は産道にもついてしまい出産時の陣痛を弱くしてしまいます。微弱陣痛はお産を長引かせてしまします。また脂肪の詰まった産道は伸びにくく難産となるリスクも高まります。自分が太ってしまって苦しいのはまだしょうがないと思えるかもしれませんが胎児にもその影響はあるとされています。巨児のリスクはもちろんの事、ずっと血糖の高い血液から栄養をもらっていたため、胎児の血中インシュリンが高くなり新生児の低血糖が懸念されます。新生児の低血糖は発達障害の危険因子となります。こうやって聞くと体重は増やさない方が良いように聞こえるかもしれませんが必要以上に痩せすぎな妊婦さんから生まれた子供は常に栄養を欲する飢餓状態に備える体になってしまい少しの栄養も吸収しようという力が働き生活習慣病になりやすくなると言われています。
体重が増える時期に適正に体重を増やしていくことが大切なのがお分かり頂けましたでしょうか?